*エミリside*


転校した学校で、たまたま前の席になった結花とちょっと強引に友達になった。
私とは正反対の性格だと、結花と話してそう思った。


大人しくて、気遣いのできる女の子。
見た目も派手な私とは違って、ナチュラルで柔らかい雰囲気の結花は優しく笑う可愛い女の子だと思う。


今日あったばかりの私と嫌がるそぶりも見せないで、話に付き合ってくれて、学校のことも色々と教えてくれて。
本当にいい子なんだ。
そんな結花と本当の友達になりたいと思った。


奥手そうなのに、意外にも結花に彼氏がいることがわかって、結花が好きになる男の子がどんな子なんだろうと単純に興味が湧いた。


彼氏のことを『かっこいいよ』と照れながら話す結花が可愛くて、この子にこんな顔をさせる男の子をただ、見てみたいと思っただけだった。


なのに……彼を、薫くんを見た瞬間、私の中で何かが弾けたように心臓が高鳴った。


こんなにかっこいい人を見たことがないと思った。


海外生活が長くて、あっちでも色んな男の子に出逢って来たけど、薫くんほど出逢った瞬間に胸をときめかせる男の子はいなかった。


この人が欲しい……


結花の彼氏だとかそんなことは、すでに私の中にはなかった。
ただ目の前にいるこの人に、私のことを見てほしい。
私のことだけを欲してほしい。


そんな欲望の塊みたいな感情が私の中に湧いていた。