コトンッとリビングにコーヒーカップを置く音が響く。






 朱雀は、僕の妹。



 大好きな妹。




「雀璃と朱雀ちゃんとおじさんとおばさんが笑っている風景を思い出したんだよ。
ほら、昔1度、近くの公園に遊びに行ったことあるだろ?」



「・・・うん」




「その時を思い出したってわけ。俺にとっても雀璃にとっても良い思い出だろ」




「・・・うん」




「ただそれだけだ」




「・・・そっか」




 懐かしい、幼き頃の思い出。



 二度と戻ることはないのにね。




「雀璃。自分を見失うなよ。雀璃は『ZERO』のナンバーワンになっても、小西雀璃であり、
おじさんとおばさんの娘であり、朱雀ちゃんの大好きなお姉ちゃんだということを忘れるなよ」




「・・・わかった」





 僕は・・・いや、私は、どうすればいい?