「お兄ちゃんどうしたのぉ?」
不思議そうな顔で俺を見上げる女の子。
「雀璃、向こうに行ってなさい」
「やだぁ!お兄ちゃんの手当て、あたちもしたい」
あたしと言えないのにしたいと言える不思議な子。
「イケメンさん、久しぶりに見たわ」
笑顔で俺に包帯を巻く女の人。
この女の子そっくりのお母さんだ。
「怪我が治るまでうちにいなさいよ。
雀璃も朱雀(すざく)もあなたを気に入ったみたいだしね」
雀璃の2個下の妹朱雀ちゃん。
姉妹は本当に似ていた。
幸せそうな家族だった。
それが壊されるなんて。
この時の俺は、まだ知らない。


