ある日。




「伶くん。これお母さんから」




 先生から俺は丁寧に包装された本を渡された。




 どうやら俺の母親は生きているらしい。




「先生。僕お母さんに会いたい」



「・・・」




 先生は難しい顔をした。




「・・・今日はもう会えないんだ」




「そうなんだ」





「大丈夫。今度会わせてあげる」




「うん!」





 お母さんに会うには時間が必要なんだ。




 俺はそう悟った。