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 俺は物心ついた時から親がいなかった。




 気が付いた時には施設にいた。






 ポケットにはクシャクシャの白い紙に曲がった黒い文字で【伶】と書かれていた。




 だから俺の名前は伶なんだと知った。





 施設の先生も子どもも優しかった。




「伶くん頭良いね」



「これプレゼント」




 成績優秀だったらしい俺は先生からよく本をもらった。




 中身は全てハッピーエンドになれる本ばかり。




 あのまま俺は育っていれば、この世界に入ることもなかったのにな。