☆☆☆☆ 俺は物心ついた時から親がいなかった。 気が付いた時には施設にいた。 ポケットにはクシャクシャの白い紙に曲がった黒い文字で【伶】と書かれていた。 だから俺の名前は伶なんだと知った。 施設の先生も子どもも優しかった。 「伶くん頭良いね」 「これプレゼント」 成績優秀だったらしい俺は先生からよく本をもらった。 中身は全てハッピーエンドになれる本ばかり。 あのまま俺は育っていれば、この世界に入ることもなかったのにな。