花火が、上がっている時は、会話が弾んだ。
けれど、花火が、あがらない合間暗闇と静寂が僕らを不安にさせた。
町の方からは、お囃子の音が聞こえていた。
それに賑やかな音も聞こえてきた。

その後もあまり会話が弾まず、僕は心優が楽しんでいるのかが不安になった。
けれど、心優は嬉しそうに花火が打ち上がる度に笑顔を、浮かべていた。

心優が他の人が好きでも、僕は心優の事が好きだ。
だから、伝えるだけ伝えよう。
僕はそう決心した。

今の時刻は20時45分頃。
残り15分で、花火が打ち上がり終わる。
タイムリミットまで、15分。
僕は最後に上がる花火と同時に伝える事にした。

花火は、にっこりマークの形や夜空に上がったが咲かずに不発の花火など、様々な花火が打ち上がった。

残り5分を切った時、逆さまのハートが打ち上がった。
僕と心優は、「失敗したのかな?」などと言って、「あははっ」って笑い合った。

残り時間3分。
アナウンスでも、ラストを告げる放送が少し遠くから聞き取れた。
僕は深呼吸をして、心優の方を向くと心優も同時にこちらを振り向き、
僕と同時に
「ちょっと、良い?」
「ちょっと、良い?」
と、同じ言葉を発した。
僕は驚いた。
心優も同じように驚いた。