山中の頂にある、一本の桜の樹の下には 私達だけしか居ない。 ひらひらと舞い落ちる薄桃色の花びら。 時折、風に揺らされたそれは 弧を描いて舞い上がる。 私の背後には、春の時期にしか会えない 大切な人… 座る私の腰に腕を回していたけれど 私の衝動を煽るかのように 悪戯を楽しむ子供のように 私の体を撫で上げたり 撫で下ろしたりを繰り返す。