驚きはしない。 時々、こういう事があったからだ。 好きな女が家に来ることを嫌がるはずもない。 嬉しさに思わず表情が緩みそうになる。 自制心を試されている様で、 困り果てる程に。 だが、それにしても今夜はおかしい。 顔を上げようとしないのは、何故だ。 お嬢を見下ろしていると、 小さな音が響いた。 目線をもっと下げてみると、 お嬢の足元に幾つかの小さな水滴が出来ていて 俺は、何も言わずに引き寄せ、 そして、抱き締めた。