久しぶりに会ったっていうのに、
何なのこの子。
それに、何だかタイミングが良すぎる気もする。
私の前でキャピキャピしている後輩を放置して
視線を和臣に向けると
私に近付いてきて、耳打ちをした。
「こいつ、大学の時からずっと、
春美が好きだったらしくてさ。
招待状に書かれた名前が春美じゃなくて
俺の会社にまで殴り込みに来たんだよ。」
「…何それ。…私に押し付ける気?」
「そうじゃない。こいつが一度だけでいいから
春美と引き合わせて欲しいっていうからさ。」
「…まったく。やっぱり押し付けじゃないの。
相変わらず、ムカつくわね。優柔不断。」
ハァ…と溜め息をひとつつくと、
私は花子に手を振り、後輩を引き連れ
部屋を出た。
取り敢えず、エントランスに向かう。
けれど、歩きながら私は話し出す。
「私と恋だなんて、無理よ。
私、【SAGE女】らしいし?
きっと、私は君を振ると思う。」
私がそう言うと、君は「そんな事?」と
言いたげな呆けた顔をした後、
可愛い顔をニッコリさせて、言ったんだ。
「僕が、何年越しで春美さんを好きでいると思ってるんですか。負けませんよ?僕。」

