「あ。お忙しいんですね・・・。
あの、じゃあ歩きながらで構いません。
…駅に向かいましょうか?」
「は?え、えぇ・・・そうですね。すみません。」
彼女は俺の言った言葉を、どう受け止めたのだろうか?
何の話をしたいのかは分からないが、俺に話したい事がある事だけは分かる。
塾講師同士のいざこざか?
生徒や授業進行への不安か?
色々考えようとは思ったけれど、彼女が話し出すのを黙って待ってみた。
もし何かしらの不安があるのなら、先輩である俺が支えてやらないとならない。
そんな想いを胸に抱いていた。
駅に向かいながら、彼女は俺の左隣を歩く。
待てども待てども、彼女は話し出さない。
そんなに言いづらい事でもあったのだろうか?
そう思いながら、俺の方から彼女に問いかけたんだ。
「田代さん?
お話があるんじゃないんですか?」

