大人のEach Love



曖昧な返事をしたからなのか、勘違いをされてしまったようだ。
かと言って、今更否定するのも恥ずかしいし情けない気もする。

お気に入りのお店にこれからも来るはずなのに、こんな事なら最初から正直に答えるべきだったと後悔しかけていた。

うつ向きながら膝上に置いていた手を握り締めると、座る私の隣に人の気配。


マスターがコーヒーを持って来るにしては早過ぎはしないだろうか?


そう思いながらも、私はうつ向かせていた顔を上げ、笑顔を浮かべてその人物を見上げる。

私を見下ろしている人物と視線が絡むと、瞬時に私は表情からは笑みが消え失せた。


何でここに居るの?
何で貴方が…


頭の中には『何で』ばかりがこだましていた。


「…おはよう。」


力なくそう言ったのは、少しやつれ気味になっていた彼だった。