街行く人達から視線をカフェ側に向けると、こちらに向かって歩いてくる女性が目に入る。
いや、正確にはその女性の足首。
短めのサブリナデニムからは、程よい筋肉のついたふくらはぎから綺麗な曲線を描いた引き締まった足首が見えて。
「…黄金比だ。」
と呟いた。
「黄金比って何だよ?って!!
おい!!お前鼻血出てんぞっ?!」
目の前に座る友人のタケルの叫びに、自分の状況を諭される。
鼻下に感じる生暖かいものは、タケルが言った通りの鼻血だろう。
だが、こんな事は今に始まった事じゃない。
慣れた手付きでアタッシュケースからポケットティッシュを取り出して、それを拭う。
「ああ…悶えてるからな…。」
格別にその脚が綺麗だとは思ってはいないが、ただ細いだけの足首よりは綺麗なライン。
俺の中での黄金比。
ふくらはぎと足首のバランスに惹かれるんだ。
危うく昇天しかけた俺に、不満の声が発せられた。
「他の女の脚を見て鼻血とか。有り得ない。」

