「丸……、綾…?」
自分の欲していたように
貴方は私の名を囁く。
それがどんなに幸せに感じたか
伝わるだろうか。
こんなにも幸せに包まれて
バチがあたらないだろうか。
ふいに流れ出す、熱い涙。
嬉しくて、嬉しくて、どうにかなりそうで。
貴方はそんな私に
尚も私の気持ちを鷲掴みにする。
「…綾。…俺が、欲しい?」
そんな風に、聞かないで。
分かりきってる事なのに。
私は、こんなにも…
「…貴史が、欲しいの。」
自分から、言わないなんて。
私から、言わせるなんて。
酷い。
と思いながらも、惚れた弱味なんだろうか?
貴方を責められないのは。
それでも、ほんの僅な本音をもらす。
「…ズルい…です。言わせるなんて。」
そしたら、貴方は優しく微笑んで…
「綾が、俺を好きなのは、知ってた。
…俺は、綾よりも10も歳上なんだ。
弱気になる俺は、…嫌か?」
そんな些細な事を、気にしていただなんて。
心の奥底で、感じた【母性】
それが、こんなにも【愛しい】と
感じさせるだなんて…

