角度を変えながらも離れる事のない唇。
静まりかえっていた休憩室には、リップ音と、二人の甘い吐息だけ…。
あの日に交わしたキスとは違う、貪るようなそれに、寂しさを募らせていた私の気持ちは満たされていく。
徐々に深くなっていくキスに、目眩すら感じていた…。
そっと唇を離したシュウジは、私の唇を舌でなぞるように端から端へと移動させた後、互いの額をコツンと合わせる。
乱れた呼吸を整えながら、間近で聞こえてくるシュウジの息遣い。
それが、今、確かにここに居るんだと感じさせてくれている。
無意識に、背に回していた手でシュウジの背広を握り締めた…。
その直後、私の頭を撫で下ろしたシュウジは、甘い声で囁く。
「…どうする?このまま、俺の家に来る?」
本当は、二人きりになりたい。
でも、今日は…
「…行きたい。でも、送別会に行かなくちゃ。
係長にはお世話になったから、お酌くらいはしたいの。」
「…そう。それなら、俺も行くよ。それで、歓迎会も省かれるだろうし。」
シュウジはさらっと言葉にしたけれど、こんな二次会に移行しそうな時間で。
歓迎会にしても、簡易的過ぎはしないだろうかと、私は言葉を詰まらせた。

