大人のEach Love




彼が廊下に飛び出した直後、廊下から聞こえてきた彼の声。


「うわっっ?!…柳田部長っ?!
すみませんっ!俺、急いでいて…。」


「気にしないでいいよ。急ぐんだよね?
お疲れ様。」


「すみませんでしたっ!失礼しますっ!」


そんな会話が休憩室にまで聞こえてきて…。

…って、…柳田部長?

係長の言っていた、柳田部長なのだろうか?


係長に言われた通りに名前は覚えていたけれど、その人に会った事はなかった。
近い内に顔を会わせるんだからと、気にもしていなかったからだ。

でも、その人が居るのなら、挨拶位はしようと思って廊下に向かって歩き出すと…。


--- パチン…


という音と同時に明かりが消され、室内は薄暗い世界に包まれた。

廊下から射し込む光だけが、私の足元を照らしていて…。


休憩室の入り口には、一人の男性のシルエット。

近くに居たのは、柳田部長のはず。

それなのに…


「…雄々しいところが格好いいね?君。
…ハハッ!」


私の事を、楽しそうに茶化した声。


聞こえてきたその柔らかな声に、私は昂る感情を胸に感じながら、涙腺を崩壊させた…。