--- 人事異動の二日前。
その日、送別会が予定されていた。
勿論、私も出席する。
お世話になった係長への感謝の気持ちを込めて、お酌だけでもしたかったから。
でも、取引先との手違いがあって急遽、夕方から打ち合わせが入ってしまい…
『遅れてしまいますが、必ず行きます。』
そう言った通りに私に、係長は
『お疲れ。無理はするなよ?』
と、労いの言葉をかけてくれた。
そんな係長の事を、私は憧れていたんだ。
私も、係長の様になりたいと…。
--
-
取引先との打ち合わせが予想以上に時間がかかってしまい、会社に戻って来られたのは8時過ぎ。
更衣室に置いてある荷物を持って、直ぐにお店へと向かおうとしたのだけれど…。
上手く進めらなかった打ち合わせ。
自分の力量不足を露呈してしまった事に、気持ちを重くさせていた私。
きっと、気持ちの切り替えをしてから向かった方がいいだろう。
勘の鋭い係長には、顔色ひとつでバレ兼ねない。
送別会の場で、変に気を使わせたくはなかった。
私は、バッグを手にして休憩室に足を向かわせた。

