全てのボタンを掛け終わると、シュウジはベッドから下りて立ち上がり、私の腕を引いた。
「さて、モーニングコーヒーでもどうですか?
…お嬢様?」
まるで執事気取りのシュウジに、私は思わずフフッと笑いを溢す。
そんな風に私を笑わせるシュウジに、私が調子にのって
『コーヒーを持って参りなさい。』
と、さもお嬢様の様に言い返すと、シュウジは
『調子にのるな。逆に君が淹れろよ』
と、今度は俺様みたいに言う。
そのどれもが可笑しくて、どれが本当のシュウジなのかは分からないけれど、それでも、こうやって私を笑わせようとしてくれているシュウジは温かな人なんだろうと、私は思った。
腕を引かれるままにリビングに来ると、シュウジは私にソファに据わるよう促し、自分はキッチンに向かって行く。
だけど…
私はソファに一度目を向けてはみたものの、キッチンに向かって消えていくシュウジの背を見た時、衝動的にその背を追いかけるように足を向かわせたんだ。

