感情を剥き出しにして掴みかかれば良かったのかもしれない。
けど、私にはそれが出来なかった。
『…そう。分かった。』
と、それしか言えなかったんだ。
三十路を目の前にしながら、変な冷静さが私の衝動を制したから。
本当は、なりふり構わず泣き叫んで
『貴方が居なければ、ダメなの!』
くらいの台詞を言葉にすれば良かったのに。
それが、きっと、男にとっては嬉しい言葉なのだと知りながらも、そうやって引き留める事が出来たかもしれないと、思いながらも…。
私の理性とプライドが、
そうはさせなかった…
それが、私の気持ちにも原因があったんだと気づかせたんだ。
私は、こうやって憂さ晴らし的な飲み方をして
自分がまるで【可哀想な女】の様な気持ちに浸っている事すらも…
本当は、知っていたんだ…
所詮、私の彼を想う気持ちにしたって
そんなもんだったんだと…

