土手を上がり、声のしたほうを見ると。
「ちっ、浪士か!」
浪士が三人、誰かを囲むようにして抜刀していた。
気づかれないように、後ろからそっと近づく。
「腰にさげてるもん、抜いてみろよ!」
「…ほう、抜いてもいいのか」
怒り狂っている浪士とは別の、落ち着いた声。
「抜いたらどうなるか…分かりきっているというのに?」
「てめぇ…ふざけやがって!」
ひとりが、刀を振り下ろした。
対峙していた落ち着いた声の持ち主は、まだ抜刀していなかった。
…斬られる。
そう思った、次の瞬間。
刀を振り下ろした浪士が、倒れた。
その先に見えたのは、刀をこちらへ向けた人影。
「…峰打ち…したのか」
土方さんは呆然としていた。
それもそのはず、動きが速すぎた。
抜刀して、相手の横腹に峰打ちを入れる。
すぐ横で見ていても、何が起きたのか分からなかったと思う。
それほどの、速さ。
「くそっ…!」
ふたりの浪士が、同時に襲いかかった。
それでも、次の瞬間には、ふたりともが倒れた。


