しばらく歩くと、土手に出た。
「…お、こことかいいんじゃねぇか?」
「本当だ。静かだし、桜も満開」
「じゃあここにするか。やれやれ、やっと決まった」
土方さんは土手の草原に座り込み、桜を見上げた。
「…綺麗なもんだな」
「すぐに散っちゃうけどな~」
俺も土方さんの隣に座り、寝転がった。
「うーん、春は気持ちいいなぁ」
「おい、寝るんじゃねえぞ」
「分かってるって」
それにしても、暖かさがちょうどよくて、眠くなる。
ふっと意識を持って行かれそうになったとき。
「なんだてめぇ!」
「やろうってのか!?」
争うような声が聞こえた。
「平助!」
土方さんが立ち上がり、走り出す。
俺も慌てて土方さんを追った。