月明かりが、俺たちを、希粋を照らす。
「百年に一度、月夜神と月影女神の子が産まれる」
土方さんの声だけが聞こえる中、希粋の髪は変化していった。
「その子は『月華の乙女』と呼ばれ、百年後に新たな乙女が産まれるまで、人々から崇め奉られる心優しき乙女となる」
黒色だった髪が、月と同じ色に変わっていく。
「…本来ならば、そうなるはずだった」
月と同じ色の髪と瞳。
憂いを帯びたような、力が入っていないような、なんとも表しにくい表情。
「…『月華の乙女』、だな」
『月華の乙女』は月の光を浴びると、髪と瞳が月と同じ色に変わる。
希粋のそれが、『月華の乙女』であるなによりの証拠。


