「……希粋」
土方さんは、目を開けて希粋を見据えた。
「俺と目ぇ合わせてみろ」
土方さんが何を言っているのか、分からなかった。
「おいおい土方さん、希粋ちゃんはしゃべってるときあんたを見てただろ?」
新八っつぁんがおかしそうに首をかしげる。
「見てただけだ、目は合っていない。…希粋、やってみろ」
そんなこと簡単だろ…。
そう思って希粋を見ると、困惑した顔をしながら、土方さんを見ていた。
「…別に俺でなくても、平助と目を合わせてみたっていいぞ」
「俺!?」
その言葉に、希粋はこっちを見た。
…見た、が。
いつまでたっても視線が交わることはない。
今は夜でも、この部屋は灯りがあるから明るい。
暗くて目がどこにあるか分からないわけでは、決してない。
それは、つまり。
「できないか?…そりゃそうだよな。見えてねぇんだから」
目が、見えていないということで。


