不思議に思い女の子を見ると、顔をしかめていた。
どうやら、土方さんにしてやられたと感じているらしい。
「…希粋と、申します」
「きすい、だな。…間違いなかった」
ぼそっと紡がれた言葉は、うまく聞き取れなかった。
「彼女も名乗ったんだ、俺たちも名乗ろうじゃないか!」
ふいに声をあげたのは、土方さんの隣に座っていた近藤さん。
「はじめまして、近藤勇だ。壬生浪士組の局長をしている」
「近藤さんは名乗らなくてもよかったんじゃないか?…山南敬助です、よろしく」
山南さんが苦笑しながら、でも柔らかい雰囲気で言う。
「井上源三郎だ。よろしくね」
源さんはお父さんって感じですごく優しい。
「沖田総司です。とりあえずよろしくお願いしますね、希粋さん!」
総司はいつもにこにこしていて、正直よく読めない。
「永倉新八だ!」
新八っつぁんは…うん、元気がいいよ。
「原田左之介、よろしくな」
左之さんは大人って感じ。
「斎藤一だ。よろしく頼む」
一くんは無口で、だけど居合いの達人。
「さっき名乗ったけど…藤堂平助、よろしくな、希粋」
「…はあ、よろしくお願いします…?」
一通り名乗り終わると、希粋は不思議そうに首をかしげた。


