…どれだけ経っただろうか。
さっきから月が雲に隠れたり、現れたりしている。
ふと意識が落ちそうになったとき、今まで微動だにしなかった布団が動いた。
次の瞬間、女の子が飛び起きた。
びっくりしたぁ、普通いきなり起きるか?
「目ぇ覚めた?」
俺が声をかけると、バッと立ち上がってこっちを見た。
そして剣を抜こうと腰に手を持っていくけど…。
「ああ、悪いけど剣は預からせてもらったよ」
「!?」
女の子の表情が、強張る。
「…あなたは…」
「俺?俺は藤堂平助。昼間会っただろ」
「ああ、あのときの…」
昼間会った、と言えば警戒心が緩まった。
俺は暗闇にいたから、夜目が効く。
でも彼女は起きたら知らない場所にいたせいか、俺の方を見てはいるものの焦点が合っていない。