肩で息をしていて、とても昼間の女の子とは思えない。


あのときはもっと余裕があって、しなやかで、もっと速かった。


それなのに、さっきはどうだ。


刀を避けるのが精一杯、避けきれていないときもあり、所々から血が流れている。


「本当に同一人物か…?」


「隊長、その者はどうしますか?」


隊士が寄ってくる。


「気を失ってる。…連れて帰ろう」


「ですが…」


聞いてきた隊士は少し迷った素振りを見せた。


まあ、そりゃそうだよな。


見ず知らずの人間を屯所に連れて帰るとか。


「こいつとは、昼間に会ってる。大丈夫、危険な奴じゃねぇよ」


「…隊長がそう仰るなら…」


結構強引に押し切ったみたいだけど…仕方ないか。


「…よっと…」


女の子を背負い、立ち上がる。


「かるっ!」


めちゃめちゃ軽い。


俺だって体格はいいほうじゃないし、背丈もない。


それよりも小さくて軽いとか…。


女の子だから、当たり前なのか…?


考えても分かるはずもないので、俺たちは屯所へ向かった。