一通りの道順を歩いたけど、特に何事もなかった。


「よし、屯所に戻るぞ!」


一声かけて、屯所へと引き返そうとしたとき。


「隊長、何者かが争っています!」


隊士が報告にきた。


「分かった、行こう!」


そのまま案内されたところへ行く。


すると、酒に酔っているのかふらふらしながら抜刀している男たちがいた。


「おらぁっ、やってやるぁ!」


昼間の光景が、頭をよぎった。


…昼と同じように、三人対ひとりだったから。


ひとりのほうは、頭巾をかぶっていて顔が見えなかった。


乱闘が、始まる。


圧倒的にひとりのほうが不利だった。


「…っ、とらえろ!」


思わず見てしまっていて、指示が遅れた。


隊士たちは一斉に抜刀し、とらえようとした。


それでも、なかなか乱闘をやめようとしない。


三人は容赦なく刀を振り回し、相手を傷つける。


一方ひとりのほうは、うまいこと刀を受けきれていないし、かすってばかりだ。


「…俺がやるか」


早いとこやめさせて、捕縛したほうがいい。


できなければ、殺す。


「なんだぁ、お前が相手してくれんのかぁ?」


一人が俺に気づき、刀を向けてきた。