「…それで、なんでしたでしょうか」
彼女が、土方さんに尋ねる。
「……いや、なんでもない」
「そうですか、それでは、失礼いたします」
「ああ、引き留めて悪かった」
それだけ言葉を交わすと、彼女は俺たちを通り過ぎて歩いていった。
「…土方さん、どうかしたのか?」
「いや、俺の勘違いだろう」
「誰か、似ている人でもいたの?」
「…まあ、そんなところだ。それより、こいつらが起きる前に帰るぞ」
あ…こいつらの存在忘れてた。
地面にのびている奴らは、放っておくにかぎる。
「そうだね、花見の場所も決まったし」
そして、俺と土方さんはもと来た道を歩いた。