男性は少し困った顔をしながら
「沖田さんは先日労咳で亡くなられました。亡くなる直前までこの組紐を離さず、自分が死
んだらこの紐と手紙をみよという少女に渡し
てくれと」
そんな...信じられない
約束したじゃないですか
この桜の木の下で
私より先に死なないって
桜の木と私に誓うって
『 ...っ』
私は涙を止められずにいた
「沖田さんは去年から病状が悪化して、懸命に
病と戦ってきました。
沖田さんは部屋から庭に立つ桜の木を眺めな
がらいつも切なそうな顔をしていました。
死の間際には、約束を守れなくてごめんね
と...」