『じゃあ土方さんに怒られちゃうから俺は行くね』


そう言って最後に沖田さんは私を抱きしめた


「はい。必ず、必ず帰ってきてくださいね」


沖田さんは何も言わずただただ私を抱きしめて


帰ると言っていたのに帰ろうとしなかった


『沖田さん...?』


そう呟くとはっと我に返った沖田さんは


「ごめんね。じゃあ...」


そう言って今度こそ帰って行った


この時沖田さんは「またね」とは言わなかった


いつも会って帰る時には必ず「またね」と言っていた沖田さんがこの日だけは言わなかった


私は気づくべきだったのに


これが沖田さんと会った最後の日になるってことを...