一八六六年四月


その日私はなんだか一人になりたくて一本桜の木がある丘へ来ていた


空は漆黒に染められ、その中に月の明かりが映えていた


月に照らされた一本桜は神秘的で、私は誘われるかのように桜の木の元へ歩みを進めた


....誰かいる?


桜の木に近づくと木の幹に男の人がもたれかかって座っているのが見えた


男の人は月の方をみて涙を流していた


『綺麗....』


その姿に思わず綺麗だと呟いてしまった


男の人はその声に気づきこちらを向いた


よく見るとその人は血だらけだった