「俺…思い出したんだ……
ラウルの事。2年前出会ったこと
全て……。」
「私は汚れてしまった……
アレンに合わせる顔なんてないわ……」

アレンは体を離して、
ラウルの顔を見た。

「ラウル……。俺は人間になるために
ここに来たんだ」
「え……?」

ラウルは酷く困惑して、
アレンを見る。

「私は汚れてしまったのよ……?
アレンも汚れる必要はないわ……」
「お兄ちゃんは妹を守りたいんだよ。
ラウルも全てを捨てて俺と来ない?」

ラウルの目には涙が溜まり
やがて大きな声で泣きわめいた。
アレンは優しく背中を撫で、
ラウルを抱きしめていた。

「悪魔。取引をしよう」

大声でアレンがそう言うと、
あの悪魔がやってきた。

「やぁ天使君。取引ってなんだ?」

悪魔はニヤニヤと笑うと、
アレンに尋ねた。

「俺を人間にして欲しい。
お前なら出来るだろう?」
「ああ。実に簡単な事だ。
ならお前の羽をよこすんだ」

アレンは、ラウルの持っていた
短刀で、羽を切ろうとした。
その時だった。

「アレン!!!やめろ!!!」

聞いたことのある声。
だけどセラじゃない。

「アレイスト……」

息を切らしてアレイストが
天界から降りてきたのだ。

「アレイストもよく見ててよ。
俺が人間になるところをさ」

アレイストは闇の力をアレンに向けて
放った。しかし、アレンの周りには
清輝の結界が張られていて、
届かなかった。