「酷い……皆殺されてる……」

死体は腐敗が進んでるものもあれば
まだ体温があるものもあった。

「なにがあったんだ……」
セラとアレンが一歩踏み込むと、
強い風が吹いた。

「なんだこの風!」

そして、強い風の中から現れたのは……

「よぉ!アレン!元気にしてたか?」

黒い羽を広げた悪魔だった。
どこかで聞いた事のある声に
アレンも耳を疑った。
セラがアレンの前に立つと
悪魔はそれを見て酷くげんなりした。

「おいおい!
今回はそういうのいらないの!
今読者が望んでるのは、そう!
俺たち悪魔と天使のへ・い・わ!」
「ふざけるな!」

セラの怒鳴り声に屈する事なく悪魔は
近づいてきた。

「あの時みたいにやられたいの?天使様」

悪魔がニヤけると、セラは唇を噛んだ。
またあの時みたいな思いを
アレンにさせたくない。セラの中では
それしか考えられていなかった。

「攻撃なんかしないさ。ただ、
この件で一つ教えてやれる事があるから
教えてやるよ。困ってるんだろ?アレン」

悪魔は死体を見て笑った。
その顔は酷く歪んでいた。
まるで、仲間が増えた事に
喜んでいるかのように……

「お前達天使の仕事がすんなりいかないのは、この死体の全員が全員
悪者って訳じゃないからだ。
中には可哀想な事に濡れ衣を着せられて
死んだ奴もいる。」

悪魔がそう言って、老人を指差す。
もう骨や皮しかない貧乏そうな老人が
どんな罪を犯すというのだろうか。
神に有り難みを抱いているかのように、
老人は十字架を握りしめていた。

「他にもあるぜ?
子供。妊婦。夫婦。どっかの家の父親
又はその家族皆殺しとかな
だが今言った中の殆どは悪人じゃない。」