「ラウル様……
何が貴女を変えたのですか……」

ラウルが特殊警察に出会ったのは
2年前の冬。丁度今頃の季節だった。
16に成長していたラウルは、
屋敷を抜け出しては町へ行き、
その美しさに誰もが一度は振り返る様な
女性だった。

当然の事、変な輩に目を付けられる
事もしばしばあった。そしてある日の事、
ラウルが町の商店街に行くと、
小太りの男に急に腕を引かれ、
暴行を加えられた後に、
無理矢理守ってきた純潔を奪われた。

しかしそれから数時間後、
動けず泣き喚いていたラウルの前に
また小太りの男の影が現れた。
ラウルがビクついて身構えると
小太りの男は何もせずそのまま倒れ、
ラウルの目の前で息耐えた。

『どうなってるの……?』
『町中で性行為とはなんとも
愚かしい行為だ。女。場合によっては
お前も斬るぞ』
『何を言ってるの!?
私は無理矢理━━…
いいえ……斬ってくれて構わないわ』

ラウルの心には光がなく、
生きている希望さえなかった。
このまま殺されれば本望。
そんな気さえしていた。

『死にたいのか?』
『わからないわ……。
今まではこの身を神の為に純潔を保ち
捧げて来たけれど、それも今日で終わり。
私は汚れてしまったわ。
生きる希望も仕える者も目標も無くなってしまった。』

その時、ラウルに刃を向けていたのが
今の特殊警察のリーダーだった。

『お前とこいつには
なんの関係もないのか?』
『そもそも、その人が誰か知らないわ』
ラウルがキッパリそう言うと、
リーダーは呆れた様に
『お前は世間知らずなのか?
それともまだその世界に慣れてないのか?
こいつは娼婦を殺す殺人鬼だぞ』と言った
するとラウルはリーダーに、
『私が娼婦だとでも思ったの!?
それで斬られるなんて納得いかないわ!』と言うと立ち上がった。
まだ体に痛みはあるものの、
リーダーと目を合わせると、
『私は娼婦なんかじゃないわ。
リオム家令嬢のラウルよ!』と言った。
すると今度はリーダーがラウルに言った。
『これは失礼した。
俺は特殊警察副リーダーレオンだ』
『特殊警察?』
『悪を倒し、国に仕える機関だ。
お前も俺と来るか?』

このレオンとの出会いが
今のラウルを作ったのだった。