「なら、事件記録本を
図書室に出したのもお前か?」

アレイストがカイルに尋ねると
カイルは、一瞬真顔になって

「俺がそんな事する筈ないでしょ?
多分、やったとしたら他の天使かな〜」
とそっぽを向いた。
カイルの話は嘘を言ったとしても
本当の様に聞こえて、誰もが疑えない。
カイルもそれを知っている。

「その天使と話し合いますか?」

あんまりにもイキイキと言うので疑えず
アレイストは首を横に振った。

「いや……。いい。
大事にしたくないからな……
今後は管理を気を付けるように」
「はーい」

にっこり笑うカイルを見て
皆が黙り、長い間沈黙が続いた。

「じゃあ俺。仕事戻りますね!
天使達には、俺からキツーク
言っておきますから!」

カイルがパタパタと戻って行く中
リイカはため息をついて、
「心配だから、アタシも行ってくるわ」
とアレイストやアレンに背中を向けた。

すると、セラはリイカの背中を叩き
「運を与える天使が
自ら運が逃げるような事すんなよ」
「なんの事かしら?」
「ため息。つくと運が逃げるんだろ?」

セラが全く……と言う様に微笑むと
リイカは「アンタって本当お人好しね」
と笑って背中を向け、歩き出した。