真面目な人ほど裏がある。

「セラ……これで文句ないだろう？
お前はカイルが犯人ではないかと
疑っていたんじゃないか？」

アレイストに真意を知られ、
セラは驚きの目でアレイストを見た。
アレイストは平然とセラを見て、
席についた。唯リイカだけが呆然と立ち尽くし、反撃の余地もなく
カイルのやった過ち一人振り返っていた。
全てはアレンを苦しめる為の罠。
重くなった空気を司会の天使長がやっと
切り裂いた。

「他に反論や意見、
報告などはありませんか？
それでは報告会を終わります」

司会の天使長はそそくさと会場を後にし
リイカもセラと顔を合わせず
会場を後にした。
会場にはアレイストとセラだけ残り、
外はもう、太陽が昇っていた。

「セラ。お前はきちんと責務を果たした。処罰を与える資格を持つお前にしか
出来ないことだ。
カイルの嫌がらせに
腹を立てるのもわかるがリイカが、
あいつを庇いたい気持ちもわかる」

アレイストはセラの肩を
ポンっと叩き、会場を後にすると
外にアレンが立っているのに気がついた

「アレン？」
「あっ！セラ？」
「残念だが、アレイストだ」
「“父さん”か……」

父さん。
アレイストとアレン二人の時は、
そう呼び合う約束。
これはアレンが生まれた時から
呼び合ってきた二人だけの秘密事。

「セラいる？話したい事があるんだ。
父さんも一緒に来て」

アレンの真面目な顔を見て
アレイストは「わかった」と力強く答えた