泡沫の羽

「アタシはなにも“あの子”から
受けてないわ。
うっかりしていたんじゃないの?
あの子はまだ中級天使よ?
忘れる事ぐらいあるわよ。」

リイカの適当な答えに
アレイストは大声で怒鳴った。

「お前の監督不行き届けで、
アレンが傷つく事になったんだぞ!
記憶を消され!真実を隠され!
一人なにも知らず、
変な違和感を抱えて生きてきた
アレンの気持ちを、
お前は考えた事があるのか!!!!」

セラとリイカが俯く中で、
アレイストはリイカや皆に告げた。
大声ではっきりと、誰も知らなかった
真実が今明かされようとしていた。

「アレンは、
私が神の出生仕事を手伝って
出来た言わば、息子の様な存在だ。
それはラウルとて同じ事。
二人が同時に生まれた時、
直ぐに引き離さなかったのは
私の心の中で酷く葛藤があったからだ」

淡々と話すアレイストが隠していた
真実を、皆は真顔で聞いていた。
セラやリイカは
目を見開いて聞いていたぐらいだ。

「今回は事故と看做すが、
次、同じような失態があれば
カイルの資格も取り上げる事になる。
肝に命じておけ。」

アレイストの言葉で、
誰もが衝撃を受け、
言葉が出なくなっていた。
アレイストの仕事は、
天使の出生を手伝ったり
神の助手を務める事だ。
アレンとラウルの事を
誰よりも心配しているのは
普段、天使長のリーダーを務め
エリート中のエリートと言われている
アレイストだったのだ。