泡沫の羽

夜ー下級天使の寮


「ねぇアレン?」
「なに?」
「僕はさ、別にアレンが悪いとは
思ってないっすけど、
やっぱり人間界に行かない方が
良かったんじゃないっすか?」

就寝時間。
いつもアレンがこっそり古書館に
出入りしていた時間帯。
今日は少しだけリキもアレンも
夜更かししていた。

「何のこと?
俺人間界に行った事ないぞ?」

リキにそう言うと、
アレンは二段ベッドの梯子に手をかけた

「アレンは、一ヶ月眠ってたんっす
無理矢理記憶を消されて……。
セラ天使長と随分前から
パートナーとして仕事もしてたし、
本当は少しだけでも
覚えてるんじゃないんすか!?」

少しの沈黙の後、
アレンはリキの顔を見て、

「俺さ……
きっと大罪を犯したんだろうな
大事な事を忘れてる気がするんだ……
大事な事だけを……」

アレンの今の言葉で、リキは確信した。
忘れたのはあの抑えきれない感情と
ラウルの事だけ。

「じゃあ……人間界に行った事は
覚えてないんっすか?」
「ああ……覚えてない……」
「そうっすか……」

アレンは、にっこり笑うと
二段ベッドに上がり外を見た。

「セラに悪いことしたな」
「なんで……ちゃんと
消却されなかったんっすかね?」

リキが二段ベッドの上に顔を出すと
アレンはもう眠っていた。