(2)

神の孤独な心から、
やがて【闇】が生まれた。

これが後の【魔王】である。

闇は神に言った。

『お前も赤い実を
食べ堕ちてしまえば良い』

『堕ち……る?』

闇は抵抗しない神の心の隙間に入り込み、堕落させようとした。
しかしその時、
神を優しく抱きしめた者が現れたのだ。

人間としての人生が終わって、
神の元に帰って来た
【アダム】と【イヴ】だった。
ヘヴンに長くは居られないが
神に一目会いに来たのだ。


『貴方様は一人では御座いませんわ。
私達が居たではありませんか。
少しながらですが戻って来ましたわ』
『おお、神よ。
貴方はどうして闇を生んだのです?
気高き神よ。
私達はこうして貴方の側に
戻って来ました。
どうかお心をしっかり持ってください。
私達はずっとお側におります』

神はその言葉を聞き、
正気に戻ったと言う。
そして汚れた心から生まれ、
自分を陥れしようとした闇を、

ヘル―……魔界に閉じ込め、
天界に近づけない様にして
神は闇に【魔王】と名を付けた。