二人で一口リンゴを頬張ると
突然頭に激痛が走った。

「なに……これ……」
「頭が……痛い……」

アレンは意識を失い、床に倒れ、
ラウルは意識が朦朧とする中で
アレンに手を伸ばしていた。

「アレン……すまない待たせたな」


大きな白い翼、綺麗な緑髪、
綺麗な青い色の目をして威厳のある顔で、
ラウルを見下ろすセラ。
その顔に驚きはなく、
ゆっくりと二つの赤い実を見た。


「待って……
アレンを連れて行かないで……」

「残念だがそれは出来ない。
お前には不憫な思いをさせるが
どうか許してくれ、こいつの為なんだ。」

出会わなければ
これ以上辛い思いをせずともよかったのにやはり運命には
天使にも逆らえないようだ。

きっとラウルの脳裏には
幼かった頃、天界でアレンと過ごした
思い出が帰って来てるはずだ。
それはアレンも同様でこれでもうなにも
隠す事は出来なくなった。

天使は人間と触れ合ってはならない……
規定を破ればその代償を受ける。
しかしアレンはそれを忘れ
人間と共に何かをしてしまった。
それでもう規定違反なのだ。
その代償でアレンとラウルの
封印してあった
幼い頃の思い出が解き放たれたのだ。