「ラウル様……大丈夫ですか?」
「レイ……」ラウルに仕える執事のレイ。彼はラウルに拾われた身だ。
それからずっとラウルに
恩を感じて生きている。

「ちょっと……教会に行ってくるわ……
お父様にはうまく言っといて……」
「いってらっしゃいませ……」

手を伸ばしても届かない背中。
羽が生えているような気さえする。
それ程レイにとってラウルは
遠い存在なのだ。

・・・

「あった!教会!
これぐらいなら登れるかな……!」

アレンは教会の塀を登ると手を滑らせ、
教会の側にある木の根元に落ちた。

「いったぁ!でもこれで安心だ……」

アレンは木に寄りかかり、
やがて眠りについた。

「あら?木の所にだれかいる?」

ラウルが木の側に寄ると
そこには、自分を写したようにそっくりな顔をした天使が眠っていた。