「よし、特に異常はなかったな」
「もう帰るの?」

アレンは、少し残念そうな顔をして
歩いてきた道や景色をみた。
隣国では多少争いがあったものの
時間と共に勝手に仲直りしていた。

「明日もあるから、
今日はこのぐらいでいいだろう。」
「うん、そうだな!天界に帰ろうぜ!」
「ああ」

そう言ってセラと共に
飛びだそうとした時、急にアレンの
目の前が真っ白になった。

「セっ……セラ!?どうしたんだよ!」

アレンの問いかけに答えず、
セラは自分の翼にアレンを隠した。
この時を待っていたとばかりに
悪魔の奇襲に遭ったのだ。

「どこに帰るって?
君達、俺達を倒しに来たんだろ?」
「人間を唆して居なければ
お前達に用はない。」

セラの声はいつもより大分低く
アレンは少し怖く感じた。

「そこをどけ、
俺は無意味な戦いをしたくない。」
「俺は無意味な戦い好きだぜ?
特に“大事なもの”がいる時の天使って
必死になって守ろうとするのな」

悪魔はそう言ってニヤリと笑うと
指を鳴らした。

「セラ!!!」
「大丈夫だ……絶対にお前を守る」

(嘘をついた代償か……)

悪魔の攻撃に避ければアレンが危ない。
かと言ってこのままでは自分も危ない。
セラはアレンを庇いながら、
攻撃を避けていった。

「ほらほらっ!押されてるぜ天使様!!」

セラはアレンを人間界に突き飛ばした。
アレンは突然の事すぎて、羽も広げられず
人間界に落ちて行った。

(絶対に迎えにいくから
少し人間界で待ってろアレン……)

「ちっ……逃がしたか……」

間も無く、
見守る課が応援として来たが、
その時には、悪魔は退散していて
セラはかなり弱っていた。
闇から身を守る清輝も、
少ししか残っていなかった。