天界よりも遥かに下。
上からは天界が見えない。

「すげぇー……これが人間界?」
「他の国もあるが、
今日仕事を行うのはココと隣の国だけだ」「へぇー……」

人間界を見下ろすアレンに
セラはため息をついた。
「絶対に俺の側から離れるなよ?
お前は危なっかしいからな」
「わかってるよ!!」

人間の国に少し近づくと、
アレンは更に興奮した。

「アレン!騒ぐなって!コラっ!」

セラがアレンの前に立つと
アレンは思いっきりセラの腹に頭突きした

「あっ……セラごめん!
俺今興奮してる!前見えてなかった!」
「ぁあ……よく知ってるよ……」

腹を抑えるセラに
アレンはぺこりと頭を下げた。

「降りるぞ、この距離じゃ悪魔の確認は出来ないし
争いも起きてるかわからないからな……」
「OK!ついてくよ!」

セラとアレンは更に国へ近づき、
やがて地に降りた。

「アレン?大丈夫か?」
「大丈夫!それにしてもすごい数だなぁ
繁殖力は天使にも勝るか!」
「そんなとこを見てどうするんだ……」

アレンは、ニカっと笑うと
セラの前を歩き始めた。
その様子を建物の上から悪魔が
見ているとも気付かずにアレンは
上機嫌で人間界を歩き回った。

・・・

「へぇー……。
本当に居たんだ黒髪の天使って、
仲間に知らせてこよーっと!
天使や信者を堕とすのって
俺大好きなんだよね〜」

悪魔はそう言うと
不気味に笑って姿を消した。

(今なにか建物に居たか?)

セラは悪魔の視線を感じていたが
気がついた時にはもう誰もいなかった。

「セラ?」
「ん?どうした?」
「もし、悪魔が襲ってきたら
どうするんだ?」
「人間界には元々*見守る課がいる。
いざとなれば、
見守る課が駆けつけてくれる」
「へぇ!じゃあ心強いな!」
「中級天使だから弱いんだけどな、
上級天使も混ぜて欲しいくらいだ」

セラはそういうと
アレンの頭を撫でた。

「“大事”なパートナーなんだから
お前は俺が守ってやる」
「じゃあ俺もセラは
大事なパートナーだから守ってやるよ!」

セラとアレンは多少話しながらも
争いや悪魔が絡んでないか国を見て回った



見守る課・・・
人間界を見守る役目を持つ
中級天使の事を言う。
戦闘能力は弱いが、情報網には優れている