「えーっと……」

本を探していると
ある記録本を見つけた。

「これって……
俺の代に生まれた天使の出生記録だ」

まさか、こんな短時間で見つかるとは
思わなかったが、アレンは仄かな光を
頼りに自分の名前を探し始めた。
同時刻に生まれる天使はいないに等しい為アレンと同じ時間に生まれた天使が
もしかしたら兄弟かもしれないのだ。

「アレン……アレン……あった!
その下は……。!!!」

アレンは目を疑った。
まさかとは思っていたが
心が脳について行かない。
アレンの出生後には、
同時刻に女型の天使が生まれていたのだ。

「い……もうと……名前は!?」

名前の上から横線を引かれていて、
よくは読めなかったが、
名前を確認する事が出来た。

“ラウル”

どうして離れ離れにされたのかは
わからないが、アレンの心から
一つモヤモヤが消えた様な気がした。

そんなアレンの安堵を他所に、
外が騒がしくなっていた。
寮の見回りを担当していた天使が
アレンを探しているのだ。

「まずいな……どうやって戻ろう……」
「アレンを探せ!また脱走したぞ!!」

アレンは古書館の鍵を内側から閉め
本棚の物陰に隠れた。

・・・

一方、セラとリイカは
レポートを提出した後、神に
人間界での仕事を
アレンと共にやりたいと訴えていた。
そこへ、見回りの天使が
慌ただしく入ってきた。

尋常ではない慌てように
セラとリイカは目を見合わせた。
やがてセラが口を開く。

「どうした!!何があった!!」
「アレンが……
脱走して今も行方不明です」

朝になりかけていた頃、神はセラに

「アレンを見つけた後に、
アレンと共に、人間界で争いがないか、
悪魔が人間を唆していないか
見てきて欲しい。」

「ありがとうございます!
では失礼致します!」

そう言うとセラとリイカは
アレンを探しに天界を走り回った。