立ち上がるにも手足が縛られていて、どうにもならない。 叫ぶにも、いざこんな状況になってみれば実際は声も出なかった。 微かに開いた口から、自分の乱れた呼吸が聞こえる。 「……おはよ」 背後から声をかけられて、私は慌てて体をひねった。 「…理久…?」 ゆっくりと、口から震えた声が漏れた。 …まさか、そんなはず…。 私は… 理久に…? 理久に…!?