「…くしゃみしてるじゃん」

「…してないもんっ」

なぜか、そう言い張る奈々。

「…少しだけでも俺ん家、寄ってけば?タオルと飲み物ぐらいなら出せるし」

「…でも…悪いし…くしゅんっ」

「はい。レッツゴー」

再びくしゃみをした奈々の腕を掴んで、俺は家に入った。


―――


「わああ!」

家に入るなり、奈々は歓声をあげた。

さっき渡したタオルで髪を拭くことも忘れて、目を輝かせている。