「あ、俺ん家」

俺が呟くと、奈々が慌てたように俺を見上げた。

「ここ、理久の家なの…!?じゃあ、ここまでで良いよ!ありがとうございましたっ」

奈々は早口で言うと、ペコッと頭を下げた。

「いやいやいや!だから、お前…風邪ひくって言ってんじゃん?」

「…バカは風邪をひかないよっ」

奈々が腰に手を当てて、威張るようにして言った。

「…くしゅっ」

…しかし次の瞬間に、くしゃみをして台無しになった。