「…え?」

突っ込んだ俺に、奈々はビックリしたような顔をした。

「…ほ、ほら!むっちゃ降ってるし…このままじゃ、風邪ひいちゃうでしょ」

俺は慌てて付け加えた。

でも実際に雨はどしゃ降りで、すでに奈々もずぶ濡れだった。

「…ん」

「…はい」

少し頬を膨らませた奈々に、俺は傘を差し出した。

「え…っ」

奈々が勢いよく顔を上げた。

「持って帰って良いよ」

「え!?ダメ…っ!ダメダメ!私が借りていったら、理久が濡れちゃう…っ」