…そんな事を考えながら、鞄から折り畳み式の傘を取り出した。

傘を差しながら歩いていると、しばらくして見慣れた人影が見えてきた。

「…奈々?」

「あ…っ」

奈々が驚いたように顔を上げた。

「…傘は?」

俺の問いかけに、奈々は恥ずかしそうに俺を見上げてきた。

「…忘れちゃって…」

奈々は少し目を伏せながら言った。

「…まあ、大丈夫!…急いで帰るから…っ」

「いやいや!大丈夫じゃねぇだろっ」