Dear

緊張してるらしい彼女はぎくしゃくながらもフワッと微笑むと、再び小さく会釈した。

…運命。

あるいは奇跡とでも言うのだろうか…。

…目の前に立つ[高橋奈々]は、俺の家にある写真の[奈々]本人だった。

「…理久くんは、ここのアルバイトメンバーの中でも結構ベテランになってきたから…新しいバイトの子を頼もうと思って…って聞いてる、理久くん?」

目と口を開けたまま突っ立っていた俺の顔を、店長が不思議そうに覗き込んできた。

「は、はい…っ!」