――― ある日。 退院する前に店長から貰った地図を頼りに、俺は駅前を歩いていた。 記憶喪失になってから、初めてのバイト出勤日だ。 しかし人通りも激しいし、店もたくさんあるし… 迷子になった末の今に至る。 「ここか…?」 俺は目の前のコンビニと地図を交互に見比べた。 …まあ、間違っていたら謝ってきたら良いか…。 店長に『来た時は裏口から入ってね』と言われていたので、俺は路地から裏口に回った。